大阪府の財政を苦しめているのは維新の放漫経営である

維新の「太田房江が大阪府の財政を破綻させ、維新が立て直した」という偽史も聞き飽きたし、さんざん維新府政の問題の反論もなされてきたが、
やりつくして放置してたら、また平然と広められているようである。

まず、太田房江が破綻させたというより、太田以前の放漫経営にその主要な原因はあり、太田時代はむしろ緊縮財政で立て直しに奔走した時代ということもできる。
「まだ足りぬ」という批判はありえようが、太田が原因かのような言説には違和感を持つ。

 

 

●太田府政の「行革」

 

大阪府行財政計画(案)平成16年版
http://www.pref.osaka.lg.jp/gyokaku/gyozaisei/gyozaikeikakuh16.html

これまでの取組と情勢
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/1834/00002317/010000.pdf

集中改革プラン付記 これまでの改革
http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/1834/00032461/2004kouteihyozentai.pdf

 

 

 


行革はやりすぎなほどにやってきており、維新の考えならむしろ評価するところ多い政権なのではないか?と思われる。
少なくとも、太田が財政危機の元凶のようなレッテルをはるのは無理があるのではないか?

 

よく言われている「使ってはいけない減債基金を使った!」という批判も、それが財政危機の根本的な原因では無い。
スリム化進め財政健全化へと向かう過程で、収支不足をどう埋めるか?という問題で、減債基金という手元試算を運用することは、府民負担を考えればそこを新規府債をもって充てるよりはまだマシとさえ言える

 

このあと説明もするが、維新府政も実はまた収支不足を他の金で埋めている。
それは新規府債。ここのトリックが隠されている。

 

収支不足を手持ち資金の減債基金運用でしのぐか、
収支不足を新規負債で他所から借りてしのぐか、
そこに大した違いありますか?

 

むしろ府債にすれば利子が巨額発生するので、トータルでは府民負担より多く押し付けることになるわけで
減債基金をうまく運用することで負担をなるだけ下げるというのはするまだマシということもできる。

 

多くの人は、維新が「府を黒字にして即財政再建した!!」という「伝説」を信じ切って、太田房江を悪魔視してるのではないかと思うが、これは騙されている。

 

自治体会計において、借金は黒字要素。
たくさん借金したら、黒字要素がたくさん積み重なり、赤字要素を隠せるのである。
維新は府債じゃんじゃん発行しているので、黒字だけど財政はずっと危機なのである。

 

減債基金という、今すぐ使うものではない自己資金あるならば、これを運用すれば、府債発行額はそれだけ抑えられる。そのぶん利子負担下げられる。
しかし「減債基金使用を止めた!」「黒字化!」というパフォーマンス優先のことをしているとも言える。

 

真に府民の負担を下げるのは減債基金使用を即座に止めるものだったのか?
そういう疑問も今となってはわく状況である。
なにも太田府政でも永久に減債基金に頼るなんて計画ではなく、平成22年で減債基金の使用は終わる予定で復元ターンに入る話で、維新のそれとは数年差の話でしかない。パフォーマンス以上の意味はあったのか?

 

 

「減債基金の活用を止める」これはいいことだし、褒められることです。
しかし新規起債で収支不足を変わりに止めてちゃ一緒ではないか。
むしろ利子思えばより悪いかもしれない。

 

橋下徹は知事選で「新規府債を発行せず」ということを主張していたのだが、いざ就任すると、ここを撤回し、収支不足を府債で埋めることになる。
しかもこれは常態化し、慣れっこになって府債頼りの放漫経営を続けてきてしまっている。

 

 

収支不足の穴埋めに、減債基金を使う太田府政も、新規府債を使う維新府政も、どっちもどっち。
太田批判をするなら、橋下府政批判もしないといけないのです。

 

 

 

●橋下府政で行われた「起債トリック」を用いた黒字アピール

橋下府政では盛んに「減債基金の使用を止めた」「財政黒字にした」という喧伝がなされた。
これだけ聞くと、「使っちゃいけない金使わず、しかも黒字にしたなんてすごい成果!」となろう。

 

これが大きな欺瞞
橋下徹は選挙時公約としてた「新規府債の発行は止める」という内容は反故にし、新規府債で収支不足を埋めている。

前述のように、自治体会計においては借金は黒字要素とされる。
…となれば、減債基金など自己資金でなく借金をすればするほど、黒字になる。
「減債基金使うことをやめ、新規府債をそのぶん増やした」…なら、黒字によりなるのは当然なのである。

みな、橋下徹が選挙戦で「新規府債の発行は止める」と言い放っていたのを聞いていた知識で理解が止まってたのではないか?

 

橋下大阪知事、「府債発行ゼロ」を撤回@読売新聞

大阪府の橋下徹知事は10日、「府債発行を原則ゼロ」としていた予算編成方針を事実上撤回し、2008年度当初予算で約160億円の府債を計上する方針を明らかにした。当初予算は7月までの暫定的なもので、通年ではさらに発行額が増える見通し。橋下知事は「府民生活に影響を及ぼす事業では発行を認めるが、原則ゼロという認識に変わりはない。府民の理解は得られると思う」と方針転換ではないことを強調した。
(中略)

府の借金にあたる府債を巡っては、橋下知事が選挙中から「原則発行ゼロ」の方針を掲げていた。6日に行った財政非常事態宣言の中でも「原則認めない」と表明。一方で、府民生活に重大な影響を及ぼす事業は予算計上するとの意向を示しており、府幹部の間では「府民サービスを考えると、府債を発行せずに予算を編成するのは難しい」との見方が広がっていた。

橋下知事はこの日、府債発行を認めたことについて「『ゼロ』と言ったのをゼロにできていないが、これを朝令暮改と言うのかどうかは有権者の判断だ」「僕は『原則ゼロ』と言っていた」と釈明した。

 

 

このように、収支不足の府財政において府債発行は結局やることになったのである。

当初方針の通り、府債に頼らずして、財政の組み換えで予算を組み、そのうえで現在基金の活用も止めるのであれば、素晴らしいことです。
そういう理解で絶賛してきているかたもおられるのではないか?

 

しかし現実には足りない予算を新規府債で埋めている。
これでは太田府政の減債基金の利用を言えたことなのか?
府民のこと思えば、利子分負担無いだけ、減債基金用いたほうがいいのかもしれない。

 

 

 

●起債に見合った減債基金を積まずにいた維新府政の欺瞞

 

維新府政は、太田府政で使った減債基金を復元している!というのである。
それは結構。すばらしいことである。

しかしここでも欺瞞がある。
復元している以上に新規に府債の起債を行ってきているのである。

 

過去の復元をしても、それ以上に起債をし、見合った減債基金を積んでおかねば、財政指標悪化してしまう。

 

復元額が足りてないのだ。
理由は簡単。府債頼りの財政運営が常態化してしまい、起債じゃんじゃんで放漫経営を続け、府財政のスリム化が伴っていないのである。
それを、上記の、起債=黒字要素という自治体財政トリックで、黒字経営黒字経営と府民をあたかも財政再建して好調かのように誤解させ、散財してきたのだ。

 

このトリックを暴いたのが以前知事選に出た自民党の栗原貴子府議、出来成元府議ら自民党大阪府議団

 

 

自民党 府議会報告 平成24年9月定例会 代表質問
http://jimin-osaka.jp/report/interpellation-h24/h2409/2409-daihyou_deki.html

大阪府では今年度、実質公債費比率が18.4%と、初めて18%を超え、新たな府債の発行に総務大臣の許可が必要な、起債許可団体となりました。府ではこれまで、橋下前知事が就任されて以来、単年度収支で4年連続黒字を維持してきた、減債基金からの借り入れをやめ、基金積立不足額を復元してきたなどとして、行財政改革に取り組んでこられたことをアピールしてこられました。けれども本当のところは、我が会派がこれまでにもたびたび指摘してきたように、臨時財政対策債等、赤字債の大量発行を行いながら、それに必要な減債基金の積立を行わず、公債費負担を後年度へ先送りしてきたことは、実質公債費比率の推移を見れば一目瞭然であります。その点について、ここではじっくりと検証させていただきたいと思います。
(中略)
ご答弁により、橋下府政時代の4年間で、総務省のルールによる減債基金積立不足額が1,632億円も増大しており、そのことにより実質公債費比率の値が押し上げられているのだということがわかりました。
(資料2)のグラフをご覧ください。ここでは、赤の折れ線グラフが総務省のルールに基づく減債基金の積立必要額、青の折れ線グラフが府のルールによる減債基金の積立必要額、一番下の緑の折れ線グラフは、実際の減債基金残高の、それぞれ推移並びに将来推計を示しています。縦の2本の直線は、橋下前知事が府政運営を担ってこられた平成20年度から平成23年度までを示しています。そして、国、府、それぞれのルールによる減債基金積立不足額は、積立必要額と基金残高との差額として表すことができます。
グラフが示すように、この4年間、府のルールによる減債基金の積立不足額、つまり青と緑の差になりますが、これは5,202億円から4,253億円へと、これまでの部局の説明のとおり、約950億円減少しています。ただこれは、減債基金自体が増えたというわけではなく、積立必要額がこの4年間で大幅に減少していることによるものです。
一方、総務省のルールによる基金の積立不足額、これは赤と緑の差として表されますが、この4年間で、ご答弁にもありましたが、3,915億円から5,547億円へと、大幅に増大していることがわかります。これは、臨財債等の大量発行により積立必要額が急上昇していることに加え、実際の基金残高が減少してしまったことによるものです。そしてこのことが実質公債費比率の値に悪影響を与え、今回、起債許可団体になったということ、さらには、5年後の健全化団体転落の危機の引き金となっているということは、ご答弁にもあった通りです。
これまで大阪府では、平成29年、30年に向けて実質公債費比率が急上昇していく原因を、過去に景気対策などで大量発行した府債の償還のピークを迎えるためであると説明してこられました。それは確かにひとつの原因であったことは間違いないのかもしれません。しかしながら今回の質問を通じて、橋下府政の4年間の府政運営で、必要な減債基金の積立を行ってこなかったことが、実質公債費比率の急上昇に追い打ちをかけていたのだということが明らかになりました。
(中略)
橋下前知事は就任時には大阪府を破産会社だと言い、退任時には優良会社だといい、昨年のダブル選挙では貯金を1,000億円作りましたと言い、あたかも自分一人で大阪府を建て直したかのようにおっしゃってこられました。
今にして思えばこうした言動も、単年度収支の黒字を達成したのだというために、あるいはWTCビルの購入や私立高校無償化などのパフォーマンスのために、健全化団体転落の危機を知りながら、負担を先送りしてきたということではなかったのか、つまり、ご自身の知事としての功績を上げ、野望を実現するために、将来の大阪府民を踏み台にしたのではなかったのかと思えてなりませ  ん。今後、橋下前知事の後継者であられる松井知事が、二度とこのような負担の先送りをしないよう、しっかりと注視していくつもりであると申し述べておきます。

 

 

 

減債基金の積み立てルールについて、起債許可団体、財政健全化団体などの指標となる国の基準と違う、府独自ルールにてやってきたため、
府がこれまで示していた積み立て必要額では足りず、実際には減債基金の積み立て必要額はもっとあったのである。
府ルールならあたかも府債返還にかかる積み立て必要額について増えていないように見えるが、国ルールにこれを正すと、どんどん実は増えていたのであり
これが大阪府が起債許可団体に陥った原因ということが府議会で暴かれた。

 

自民党 府議会報告 平成24年9月定例会 一般質問
http://jimin-osaka.jp/report/interpellation-h24/h2409/2409-ippan_kurihara.html

先の2月議会の我が会派の代表質問で、臨時財政対策債等の償還にかかる交付税措置額と府の償還額にかい離があることを指摘して、これは将来世代に対する負担の先送りではないのかと質問したところ、「交付税は一般財源として自由に使えることから負担の先送りとは考えていない」との答弁がありました。
しかしながら、そもそも負担の先送りをしないという府民との約束は、法律や制度を超えて、より厳しい財政規律を大阪府が自ら課したものではなかったのでしょうか。そうであるならば、法律や制度で認められているということを、負担の先送りではないという理由に使うことは、論理的に矛盾した答弁ではなかったでしょうか。
(中略)
(資料6)をご覧ください。グラフの左側、ブルーの棒グラフは23年2月に試算した後年度の要対応額、右側、ピンクの棒グラフは24年7月に試算したものです。24年7月の試算で24年度、25年度の臨財債発行を見込んだことで、25年度以降の要対応額が、23年2月時点の2倍、3倍になっているところもあります。
つまり、大阪府のこれまでの説明では、健全化団体転落を回避すべく、公債費負担を平準化しながら、計画的に減債基金を復元しているとのことだったのですが、これを見ると、平準化とは程遠い試算であり、「計画」とは、後年度にしわ寄せがいくという計画だったことがわかります。地方財政法第33条の5の2により、23年度から25年度まで臨財債の発行を認めるという規定は23年2月時点で、すでにあったはずです。公債費負担を平準化するためには、当然、24年度、25年度の臨財債発行は見込んでおくべきではなかったのでしょうか。また、平成26年度以降、臨財債制度が継続する場合は、また同じ様なことが起こり、平成27年度以降の要対応額が現在の試算よりもさらに、雪だるま式に増えていくことになると思いますが、いかがでしょうか。
(中略)
グラフをご覧ください。(資料3)橋下前知事が太田元知事から府政を引き継いだ時点での総務省ルールの減債基金積立不足額は3,915億円でした。これを4年間で増大させることなく、維持しておれば、今年度起債許可団体に陥ることも、5年後に健全化団体転落といった危機的な状況に陥ることもありませんでした。その場合の減債基金残高を示す緑のグラフは点線のような推移を示すことになります。しかしそのためには、1,632億円の減債基金の積立が必要であったわけですが、ご答弁にもあったように橋下府政の4年間、知事重点事業や財政調整基金の積み増しを行わなければ1,632億円の基金の積立も充分可能であったということです。
しかも、先ほどの質問の答弁にもあったように、健全化団体転落を回避するためには、総務省ルールによる減債基金積立不足額を解消することが当面最大の課題であったということについても、4年前の時点で充分想定しておられたにもかかわらず、あえて、必要な減債基金の積立を行わずに、知事重点事業や財政調整基金の積み増しを優先してこられたということになります。
さて、橋下前知事は就任以来一貫して、負担を将来に先送りしないということを府民、議会に約束してこられました。そして、4年連続の黒字を達成した、減債基金を復元してきた、実質府債残高を減少させてきたと、あたかも財政再建への取り組みが大きな効果をあげているかのように、府民に対してアピールしてこられました。しかしながら実際には、これまで見てきたように、必要な減債基金の積立を行なわず、知事重点事業などを優先させて、1,632億円もの負担の先送りをしてきたことが、財政健全化団体転落への危機を招いていると同時に、今年度以降の財政運営を非常に厳しいものにしているのだということが、今回の質問を通じて明らかになりました。
さてそこで総務部長にお尋ねします、この4年間で総務省ルールの減債基金積立不足額に、1,632億円ものかい離が生じていたという事実を隠し、実際には基金残高も大きく減少していたにもかかわらず、そのことを府民や議会に充分な説明もせずに、府のルールによる積立不足額の復元のみを過大にアピールしてきたことについての責任については、どのようにお考えになられるのでしょうか。

 

…と、以上のように、独自の「府ルール」により、必要な減債基金積み立てを怠り、後代に負担を先送りしてしまったのである。

 

維新の吹聴してる「伝説」として、「臨時財政対策債は借金ではない」というものがあるが、上記議事録の通りで、実際には負担を増すことになり、起債許可団体化の要因になっているのが現実である。

 

臨時財政対策債を用いることはよいのだ。見合った減債基金積み立てが必要ということ。
しかしそれを怠った結果がこういう結果になる。

 

 

この自民党が暴いたことにより、府は以後府ルールを見直し、正確な数字を出さざるをえなくなる。

 

なお、これを暴いた栗原府議は、知事選で松井一郎に敗れ政界引退。
出来府議も、先日の統一地方選挙で敗れて府議の椅子を失っている。出来氏も高齢なので次どうなさるか。
やれやれという他ない…

 

 

 

このような起債だよりで予算規模を一行に抜本スリム化できず、ずるずるきている現実は、過去記事でもまとめたので参照されたい。

新規起債をどんどんやるのが常態化し、予算規模がまったくまともにスリム化できてない。
年次の借金返済の負担「公債費」が今後急増するピーク期が待ち構えるなど、
財政再建したとはとても言えたものではない現状が分かると思います。

 

 

●本来、府の縮小案だった橋下徹。しかし今では府の肥大の都構想

 

都構想とは、広域自治体である「府」へ中央集権し、肥大する構想である。
これはいくら言いわけしようと、前回の協定書を見れば明らかな事実である。

ところが、本来の橋下徹の思想は真逆であり、元は府を解体し、府下の基礎自治体にへ徹底的に権限財源を移譲しようというものであった。
これこそ歴代の府政で肥大して財政危機に陥ってきた府財政を救うし、地域分権の流れにも合致した妥当な道です。

 

 

松井一郎、浅田均、東徹らほぼ府議グループを母体に維新は結党されている。
ここが神輿に橋下徹を担いだという構図である。
橋下徹が変節してしまったのは、この松井らと組んで維新を結党してからであり、府議ゆえの府の権益拡大を好む空気に感化されてしまったのではないだろうか。

 

 

都構想は移行コストで莫大な金が消え、財政的メリットは特に無い。金の付け替えだけのはなしで、これをやったからすなわち儲かるって話ではない。
あるのは府議のエゴといえよう。その犠牲に府民も市民もあうことになる。
その間行政は停滞するし、老朽都市インフラの更新も急務な大阪で大金がそちらに取られてしまう。
また今は万博の費用もいるなかこんなことやっている場合かというのもあろう。

 

 

黒字黒字と府債漬けで単年度黒字アピールして、放漫経営を続ける現状の府政は間違っています。
ましてやその放漫経営続ける資金源に、大阪市の資産を都構想の名に付け替えて、投げ売りとかお話にならない。
そこで損をするのは大阪の民である。

府の財政再建なんかできていない。黒字アピールしても府債漬けの自転車操業。
府政のスリム化本気でする気もなく、逆に大阪市潰して肥大を継続しようとしている。

 

 

本来の橋下思想が正しい。府はスリム化し、基礎自治体に委ねて本来の調整機能に集中すべきなのだ。
大阪を救うのは都構想ではない。本来の橋下思想にも近いであろう、都構想の逆。基礎自治体を重視し、活躍してもらう大阪であると考える。