大阪市民には特別区による大阪市の廃止分割構想(いわゆる「都構想」)は眼前の問題であり、危機感を持って大阪市民の中でも議論が巻き起こってき、関心も非常に高い。
しかし実際には、本来の維新の都構想は周辺市も、さらには神戸などまで特別区に格下げし、大阪府に組み込もうという構想であり、将来的にはそれが最終目標であることは党幹部もいまだ否定はしていない。
しかし、多くの周辺市民は、まだ大阪市でも住民投票も行われていず、ずっと先の話との認識が大勢ではあるまいか。
しかし、先日あった吹田市長選、八尾市長選で緊急に選挙終盤に当サイトでも訴えたが、
周辺市は身に迫った危機なのである。
というのも、都構想の根拠法である「大都市法」では、「特別区に隣接する自治体は住民投票を経ずして特別区として編入しうる」という特例があるのである。
つまりだ、
大阪市が維新によって特別区に分割再編されたのちは、
周辺市は議会の議決のみで、市民の住民投票を経ずして特別区として廃止しうる。
専決処分とは?
ここでまともに考えればありえないが、市長には緊急を要し必要と思われる案件において「専決処分」といって議会の反対を制して市長権限で通すことが、理論上はできうる。
もちろん普通はありえないことだが、維新は自己都合を連発してきた政党であり、議決を歪める専決処分をしうる政党であるとの危機感は必要であろう。
そもそも先のクロス選挙自体がそういう脱法行為的なものであった。そういうありえないことをしうる集団である。
事実として、橋下大阪市長は、かつて都構想の住民投票実施を議会で否決となり、そこで議会の議決を専決処分で覆すと明言してきた。
崖っぷち橋下市長 都構想実現へ奇策 「専決処分」で住民投票@Zakzak by 夕刊フジ(2014.11.07)
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20141107/plt1411071204001-n1.htm
橋下氏と大阪府の松井一郎知事(維新幹事長)は来年2月、都構想の制度案を再提出する構えだが、地域政党「大阪維新の会」の議席は、府・市両議会ともに半数に満たず、再び否決される可能性が高い。そこで持ち出したのが住民投票だ。
(中略)野党が過半数を占める議会では否決される公算が大きい。そこで、橋下氏に近い維新関係者は次のようなシナリオを明かす。
「否決されたら、橋下氏は議会の議決を経ない『専決処分』によって条例案を通す。専決処分には『議会軽視』『独断専行』といった批判がつきまとうが、今回は、住民投票を求める市民の願いを潰した議会側が“悪役”になる」
橋下市長、専決処分を示唆 法定協へのボイコットを批判@朝日新聞(2014年7月2日15時20分)
https://www.asahi.com/articles/ASG723R7LG72PTIL00B.html
都構想案が議会で可決される見通しはなく、住民投票に向け「あらゆる方法を残す」として首長の権限だけで決める専決処分に踏み切る可能性を示唆した。市役所で記者団に語った。
都構想で専決処分の見方も@NHK (08月03日 05時46分)
http://www.nhk.or.jp/kansai-news/20140803/3479601.html (リンク切れのためこちら→ https://news.yahoo.co.jp/byline/watanabeteruhito/20140801-00037905/)
大阪都構想の住民投票について、大阪維新の会には、来年春の統一地方選挙にあわせて実施できるように、松井知事と橋下市長が
「専決処分」に踏み切るのではないかという見方が出ています。
大阪都構想の住民投票について、大阪維新の会は、大阪市を5つの特別区に再編するとしている平成29年4月に間に合わせるために、来年春ごろまでに実施したいとしています。
実施には、府議会と大阪市議会で協定書の承認が必要なため、松井知事と橋下市長は、9月の定例会に協定書を提出する方針ですが、自民党などの反発は強まるいっぽうで、承認が得られる見通しはたっていません。
このため、維新の会には、他党の協力が得られない場合でも松井知事と橋下市長が都構想実現を諦めることはないとして、住民投票を、来年春の統一地方選挙にあわせて実施できるように、法律にもとづく「専決処分」に踏み切るのではないかという見方が出ています。
大阪都構想攻防 橋下氏 再提案、専決カードも 野党「議会軽視」批判強める@産経新聞(2014.10.18 08:14)
https://www.sankei.com/west/news/141018/wst1410180019-n1.html
大阪市を特別区に分割し、大阪府とともに再編する大阪都構想で橋下徹市長(大阪維新の会代表)が強硬姿勢を鮮明にしている。住民投票を実施するかを決める協定書の議案について野党が否決の方針を決定したことに「住民に委ねず、おこがましい」と反発し、再提案する意向だ。橋下氏は劣勢の議会の議決を飛ばして住民投票に持ち込む「専決処分」のカードもちらつかせており、野党側は「議会軽視」と批判を強める。今月下旬に想定される否決後に、都構想の攻防はより激しさを増しそうだ。
少なくとも維新は、議会過半数を得られずしかし都構想を進めたいと、議会可決をすっ飛ばす「専決処分」を強く示唆してきた実態がある。
これをやられると、仮に大阪市が特別区に再編解体された場合、周辺市はその判断をする議決をすっ飛ばされる。
そうなると、その判断は市長に一任ということになる。
「本来の」特別区設置に至る法制上の工程表。
最後の部分を見て頂きたい。
特別区に隣接する市町村を特別区として組み込む場合は住民投票は不要で省略でき、議決のみでいけることが明記されている。
そして橋下市長のかつて議決は専決処分でいけるという論理を繰り返し述べてきた。
…となると、市長の一存で議会を軽視した無茶苦茶な手法も一応覚悟しておかねばならない。
この脱法的手続きを入れ修正するとこのようになる。
維新が都構想実施に、無茶苦茶な脱法行為をやりまくった版
ですから市長選挙で維新市長を選ぶという意味は大きな意味を持ってくる。
永藤英機は「自身の任期4年間は堺を都構想に組み入れない」と前回主張しているのであるが、
松井氏ら党の方針としては、あくまで最終目標が周辺市も含めた特別区への格下げ、府への中央集権というべきものであるのは明らか。
今の公明への維新の恫喝を見よ。知事市長選のときは「議論を続けさせて欲しい」「法定協議会での協定書作成まで協力してくれ」という主張だったはずが、手のひらかえして、
住民投票実施時での賛成をも求めている。「飲まねば国政選挙で公明選挙区に対抗馬立てるぞ!」と。
のような二枚舌政党の傀儡候補の言う事を信じるのでしょうか?
永藤氏は、府議時代維新府議内でも特に熱心な大阪都構想信者で、Twitterの居住地情報を「大阪都」とするほど。
また政令市制度については「廃止すべき」ときっぱり言っており、これが本音であるのは間違いなかろう。
実際には「4年間都構想議論はしない」としても、党として都構想を目指す方針には変わりない以上、4年の市政がそれ前提で行われる可能性は極めて高い。
現在まだ特別区に解体はされていない大阪市で行われているような、市の機能の府への統合や民営化、独立行政法人化どの案件が進む可能性は高い。
例えば、堺市には、大阪府下でも大阪市、堺市、東大阪市にしかない伝染病などの対応を保健所と連携する堺市衛生研究所なんかもあります。
しかし大阪市は既に都構想の一環として市の衛生研究所を府の機関統合、さらには独立行政法人化で保健所との距離を生む組織形態にしてしまった。この形態では自治体は定款くらいにしか主導的に関与できない。
独立行政法人として、民間の仕事を受けるというのだが、命を守るここは儲け主義でいいはずがない。
しかも1つにすることで、コストカットという触れ込みだったものが、ふたをあけると新たなハコモノを100億円ほど使い作る話が出てきたりと無茶苦茶です。
堺市衛生研究所
http://www.city.sakai.lg.jp/kenko/kenko/hokencenter/eiken/
堺市民に問われるのは、この永藤英機という人物を信用しうるのか?である。
永藤の言う「自身の任期4年間都構想議論はしない」という言葉を額面通りに受け取るのか?見る目が問われる場面である。
そもそも政治家引退で、堺市長選への出馬は無いとついぞ直前まで繰り返し述べていた人物である。
ひとりひとりの堺市民の審査眼が堺の将来を大きく左右する場面が間もなく訪れる。
どなたに入れるにせよ、慎重なる判断のためよくよく学ぶ必要がある局面であろう。