昨年の台風被害は大阪にとてつもない被害を残しました。未だ被災から復帰できていない家屋は数多く大変なことです。
関空も滑走路が水没するなど大きな被害が発生しました。
あのとき関空が完全に機能停止せず、早期の復興が可能だった原因に、「第二滑走路が無事であった」ということがあります。
この第二滑走路は、太田府政で作られた関空二期工事で作られたもので、あの状況下でも稼働できたのです。
第二滑走路は従来、LCC、つまりピーチなど格安航空会社専用滑走路として活用されていましたが、緊急時に通常の航空会社も利用し、なんとか乗り切りました。
この関空のLCC路線の大ヒットは、政府の国政レベルの円安政策と並んで、大阪のインバウンドブームの大きな要因です。
・関空のLCCブームは維新の成果?
このLCC路線について、維新の成果、橋下知事の成果というような事実でない話が巷にあるようです。
橋下知事があたかもLCC路線の立役者かのような事実をねじまげる情報が出回っています。
橋下氏自身、自身の成果として喧伝しているようです。
現実はどうなのかを検証します。
・国土交通大臣政務官の告発
当時の様子を担当省庁の政務官であった長安氏がFacebookで告発しています。
https://www.facebook.com/nagayasut/posts/d41d8cd9/1059751947441400/
当時、私は国土交通大臣政務官をしており、この中心にいた人間として事実をお話したいと思います。関空再生は橋下氏の手柄ではありません。
まず、関空再生のためにLCCの誘致を進め、また貨物を重視するという方針は、そもそも2009年の政権交代後、前原国土交通大臣の下に設けられた国土交通省成長戦略会議で有識者を交え、半年以上にわたり議論を重ね国土交通省成長戦略としてまとめられたもので、私が国土交通大臣政務官としてこの議論を主導し取りまとめ実行に移しました。
また、フェデックスの北太平洋地区のハブを韓国の仁川(いんちょん)空港と争い勝ち取ったのは、私が香港にあるフェデックスのアジア太平洋地域本社を訪問し、ディビッド・カニングハム社長に直談判し、国として通関・検疫などの手続きの迅速化・簡素化、さらに関空が全面的な協力を約束したからです。ちなみに橋下氏は広州空港と争ったと書いていますが、事実誤認です。
こういった関空再生の経緯は国土交通省、さらには当時関空の社長であった福島氏や関係者なら誰もが分かっていることです。
橋下氏は、もともと関空の再生については単に伊丹空港廃止だけを唱え、何ら具体案を示すことはありませんでした。にもかかわらず関空の再生を自分の実績として喧伝するのは不誠実です。
実際、上記の国交省の成長戦略会議において、関空のコンセッション(事業権売却)やリニア開通後の伊丹空港廃港に道筋をつけたことを、私が橋下氏の携帯に電話をして説明をしたぐらいで、橋下氏がなんら主導したわけではないことは橋下氏自身が一番わかっているのではないでしょうか。
橋下さん、何でも自分の手柄というのは一昔前の政治家ですよ。
・議事録が残っており、長安氏が本当のことを言っている
この国交省の審議会は、議事録が今も国交省のサイトに公開されており、誰でも確認が可能です。
国土交通省成長戦略会議
http://www.mlit.go.jp/policy/kanbo01_hy_000575.html
これを見れば明白です。
第1回から第13回まで同会議は開かれているのですが、関空のLCC推進は、橋下氏がまだ参加していない第1回から提案されています。
なにも橋下氏の案でも彼が強く推していたポイントでもなんでもないです。
氏は第五回会議に乗り込み、自身の案をプレゼンしますが、その資料を見れば氏の主張の主だった内容は、伊丹空港廃止し、関空への集約であることが分かります。
橋下氏の提出資料より
ていうか、橋下以前の太田房江・府政の関空二期工事のときから、LCCで関空二期島を使うことは想定されている。
関空二期工事案
https://www.mlit.go.jp/koku/03_information/12_kuukougijutu/0712_shiryou/2_01.pdf
「ローコストキャリア」=LCCがちゃーんと書かれていますね。
そもそも関空二期島は、LCC対応は想定されて建設されているのです。
・橋下案「外国人特区」
橋下知事の当時の提案・主張は、上記の国交省の会議でも触れていますが、伊丹空港を廃止して外国人が集積する英語特区にしようなど荒唐無稽なものでした。
伊丹空港跡地を「英語漬け特区」に!? 橋下知事が教育構想
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/091022/lcl0910221920005-n1.htm
関西国際空港のハブ(拠点)化を目指し、大阪空港の廃止を提唱している橋下徹知事は22日、空港廃止後の跡地利用策として、外国人の定住や経済活動を進める英語特区を整備する構想を明らかにした。
橋下知事は「大阪空港に代わる活性化策として英語圏を作りたい」としたうえで、「教育やまちづくり、活性化を含めた経営プランを作りたい。観光資源にもなる」と狙いを説明、担当部局に具体案の作成を指示した。
韓国・済州島で国家事業として整備が進められている「英語教育都市」の調査も指示しており、近く予定している国の国家戦略室への提案にも構想を盛り込む方針。
橋下知事によると、英語特区は、約500ヘクタールと想定される跡地のうち約300ヘクタールを活用。外国人の定住や経済活動の促進を図り「完全な英語生活圏」を整備する構想だという。ただ、「行政が投資し、運営することは考えていない」とも述べ、公費投入は否定した。
知事は「英語漬けで数カ月生活すれば、英会話もできるようになる」と教育効果にも期待しており、学校法人などの民間投資も呼び込むことができるとの認識も示した。
結局荒唐無稽で実現性が無くこの構想は撤回することになります。
伊丹空港廃港案のついては、兵庫県の井戸知事は、このとき猛反発していました。
橋下知事「大阪(伊丹)空港は廃止含め検討」
http://www.asahi.com/kansai/travel/news/OSK200807310067.html
大阪空港は大阪、兵庫両府県にまたがっており、橋下知事の発言に兵庫県の井戸敏三知事は「関西を沈没させる発想」と猛反発している。
ご存じの通り、昨年の台風被害では、伊丹空港の存在により大いに助けられました。
結局兵庫の井戸知事の政治判断が正しかったといえます。